2017/02/14

ある奥さんがパニック障害で悩んでいる、ということで相談にいらっしゃいました(パニック障害は、突然起こる激しい動悸や発汗、頻脈=脈が異常に多い、震え、息苦しさ、胸部の不快感、めまいなどの体の異常と一緒に「このままでは死んでしまう!」という不安感に襲われる障害です)。

 

旦那さんの浮気未遂をきっかけにそれが頻繁に起こるようになって、奥さんの症状によって旦那さんは「なんてことをしてしまったんだ〜!」というような追い詰められた気持ちになります。

 

奥さんは、泣く子も黙る厳しい職場で長年働いてきて、その職場で相当ないじめにあっても2回泣きすぎて過呼吸発作になっただけ。だから精神的にはものすごく「強いぞこの人!」の部類に入る感じの方(私があの職場に入ったら2週間と持たないでしょう。ま!そもそもは入れませんけどね!)。

 

育ってきた環境をお聞きしてみると、お母さんはお父さんから暴力を受けていて、その女性も何度か父親から暴力を振るわれて怖い思いをした、というエピソードがありました。そして、父親は女性と浮気をして家から出て行ってしまい、母親が苦しんでいるのを見ていた、ということがありました。

 

これをお聞きすると父親からの暴力のトラウマと、母親が暴力を受けているのを見ていた二次トラウマがあるのでは?と一般的には考えます(二次トラウマってトラウマを受けた人を見ていることでトラウマになっちゃうこと。管理職猿の実験では、実際に苦痛を与えられている猿よりも、それを見て叫び声を聞いていて、痛みを感じている猿を助けようとした猿の方が胃潰瘍で先にお亡くなりになります。見ていただけ!といっても本人よりも受けるストレスが大きくなることがあります)。

 

旦那さんの「浮気!」という事件をきっかけに、母親が父親の浮気や暴力で苦しんでいたあの時の「苦しみ!」が蘇ってしまいます。

もちろん、この突然襲ってくる苦しみが「母親の苦しみ」である、という自覚は本人には一切ありません。本人は「浮気されたことで「苦しい〜!」ってなっていると思ってしまいます(当然そうなるでしょ!って)。

 

パニックの元になっているのが「母親の苦しみ」であること。

だから、いくら旦那が謝っても、どんな慰めの言葉をかけても、原因が違うので「違う〜!」ってなってどんどん症状が酷くなる、という仮説が立てられます(トラウマ理論では)。

 

とりあえず「父親からの虐待のトラウマ」の治療をしたら、それまで毎日出ていた発作がだんだん少なくなっていきます。

 

すると、いきなり旦那さんが登場したんです。

 

そして、旦那さんは奥さんの症状を詳細に説明してくださいます。

 

多分、他の人が見ていたら「あんたが原因やろ!」と突っ込みたくなるぐらい、奥さんの症状を面白おかしく語っていたんです。

 

そんな旦那さんを責めないで、ひたすら旦那さんの話を聞いていたら「実は、僕もパニックの発作があるんです」と仰ったんです。

 

奥さんが発作を起こす前から頻繁に。

それで「仕事が続けられなくなってしまうかも?」と不安になっていた、ということを聞いて「お〜!これは興味深い!」と思ったんです。

 

奥さんがパニック障害を発症した時期を見てみると、旦那さんの仕事が一番大事な時期でした。

旦那さんは、奥さんの発作を見ることで、自分自身の発作を客観視することができて、コントロールできるようになっていたんです。

 

もし、奥さんがパニック発作を発症していなかったら、旦那さんの発作が頻発してしまい、仕事が続けられなくなり、これまで積み重ねてきた旦那さんの苦労が泡と消えてなくなっていた、という危険性があったんです。

 

今回、奥さんの症状が軽減して旦那さんが来たのは「もしかしたら、僕の発作も治るかもしれない!」と思ったから。

 

言ってみれば「奥さんの症状は旦那さんの為にあった!」ということになります。

旦那さんのために奥さんは発作を起こして、そして、旦那さんを治療につなげて自由になる道順を作った、と。

 

多分、この奥さんは心のどこかで自分がやっていることの自覚がある可能性があるんです。

 

「旦那さんの為にパニック発作を起こして、自分を犠牲にして旦那さんを助ける」というのが奥さん自身の感覚かどうかを”心”に聞いてみます。

 

すると“心”は「違うよ!」と教えてくれます。

 

“心”は「母親から入れられている」と教えてくれます。

 

恐る恐る「心よ!母親からどんな感覚を入れられているの?」と聞いてみます。

 

「父親もあなたの旦那も罪深いあなたのせいでおかしくなるから、私が罰を与えてあなたを救う!」と答えます(ちょっとどぎつい内容だったので加工してここには書いてあります。ヒエ〜!ホラーじゃ〜!)。

 

ちょっと昔の話になりますが、旦那さんから暴力を受けた奥さんが実家に帰るのは「危険!」という常識が治療者の間ではありました。

なぜなら実家の家族が「あんたがだらしがないから暴力を振るわれた!」という体でチクチクと責められて(言語的に責められたり、非言語的だったり)、結局、暴力を振るう旦那の元に戻ってしまう、というパターンがあったからでした。それをしてしまうと、学習性無力症に陥ってしまい、今度は旦那の暴力から逃げることができなくなり、大変なことになってしまう可能性があるからです(学習性無力症は「何をやっても無駄だ!」と学習して意欲を失っちゃうことです)。

 

「あなたのせいでこうなってしまったのだから、そこから逃げちゃったら立派な人間にならないでしょ!」というのが“万能感”を持った親の考え方になります。だから、立派な人間になるために、罰としてその苦しみを耐えなさい!という論理が”万能感”では成立します。

 

この方の母親の場合「私もその苦しみを耐え抜いたのだから、あなたも耐えて立派な人間になりなさい!」というのを脳のネットワークで入れられてしまう。

 

”立派な人間”とは何ぞや?ということになりますが、この”万能感”の方の思考パターンから読み取ると「”万能感”を持った方に従順になること」になります。どんな苦しみの中でも従順でいる事。

 

”万能感”に乗っ取られてしまうと、それが「美しく甘美なもの」に思えてしまうから興味深いんです。

 

母親の”万能感”に乗っ取られた奥さんは「自分を犠牲にして旦那さんを助ける!」という体になっていたのですが、この奥さんの”万能感”の影響を脳のネットワークで受けて”万能感”バリバリになってしまった旦那さんは「俺はキングだ〜!」と浮気をしてしまう、という面白い循環になっていたんです(あ〜れ〜!)。

 

そんな構造がわかったところで、奥さんの心に「”心よ!”私自身は本当は何を求めているの?」と聞いてみます。

母親からの”万能感”を除いたオリジナルの自分が何を求めているのか?

 

「自由!」と一言だけ。

 

いいよ!いいよ!ナイスだね〜!心!

 

最高!

 

 

 

 

 


2017/03/23


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