「ナラティブは心の絆創膏」by DALL-E
要約:
この文章は、心の傷とそれに伴う潜在炎症についての理解を深めるためのナラティブを提供しています。身体の傷と同様に、心の傷も適切な対処が必要であるという比喩を用いて、精神的なダメージの治療と回復の過程を説明しています。特に、脳の炎症が認知機能に与える影響と、それを和らげるための無意識の役割に焦点を当てています。
文章のポイント:
- 心の傷の目に見えない性質:心の傷は外見からは判断できず、他人に理解してもらうことが困難。
- 潜在炎症の影響:心の傷が潜在炎症を引き起こし、末梢免疫細胞の活性化と認知機能の低下をもたらす。
- 共依存、過剰適応、退行タイプの認識:心の傷が人々を共依存、過剰適応、退行といった精神状態にし、これが人間関係や自己認識に深刻な影響を与える。
- 脳の部位とナラティブ:後帯状皮質と前帯状回が炎症によって影響を受け、これが苦痛や葛藤の源になっている。これらの脳の部位に関するナラティブが、絆創膏のように炎症を鎮め、心の傷の回復を助ける。
- 無意識の役割:無意識という第3の選択肢に委ねることで、心の傷の治療と認知機能の回復を促進する。
これまでの心の傷の説明の中で「脳の部位」が度々登場します。
その脳の部位のナラティブも炎症を鎮めるためのもの。
身体に目に見える傷がついた時に、人は消毒を施します。
でも、傷を消毒する必要があるかどうかは傷の状態によって違ってきます。
なぜなら、消毒液によって菌を減らすことができますが、正常な細胞を傷つけてしまうことがあるから。さらには消毒液は細菌数を減らす効果は流水に劣ることがあるから。また、傷口から出てくる液体には細胞成長因子がたくさん入っていて、傷を治す細胞が増えるのを助けてくれるのですが、消毒することでせっかく増えた細胞が死んでしまうから。
子供が転んでケガをした時に大人が「消毒をしなければ」というのは「消毒したから汚い手で触ってはダメ」などのメッセージが込められている。炎症が起きている患部を触ることで炎症が広がってしまう可能性があるから「触ってはいけませんよ」という意味で消毒をします。
脳の中の場合は、炎症が起きている患部を確認することができません。
でも、人が外部から精神的なダメージを受けた時に、まともに思考が働かなくなるのは炎症が起きて末梢免疫細胞が活発になって認知機能が低下するから(コロナのブレインフォグなどの後遺症でこの現象が一般的になりました)。
転んでケガをした子供が患部を触ってしまうのは、患部が治ってくる過程で痒みなどの不快感が生じるから。
だから、大人は子供が患部を触らないように絆創膏などを貼ったりする。
脳もダメージを受けた後に、そのダメージを修復する過程で不快感が湧いてきたりします。過去の不快な記憶が繰り返し思い出されたり、不快な感情が襲ってきたり、ということが起きるのは脳の患部が修復されていく過程(ナラティブで書いています)。
脳の部位を使ったナラティブは、絆創膏の役目を担っています。
「正しい or 間違っている」の葛藤を起こしてしまうのは、後帯状皮質が炎症の影響を受けているから。そして、そこから苦痛や葛藤に苛まれるのは、前帯状回が炎症の影響を受けて活発になっている(ナラティブで書いています)。
人は、頭の中の患部が見えないから「どうしてこんなに苦痛や葛藤が起きるんでしょう?」と疑問に思って、傷口を掘り返してしまうと「炎症がどんどん広がっていく」ことになってしまう。
後帯状皮質と前帯状回が炎症で活発になって傷が癒やされていく過程で不快な感覚に苛まれる、というナラティブが絆創膏の役目で傷口を触る必要がないことを示唆してくれる。
傷口から出てくる液体は、見た目はドロドロしていて気持ち悪いものに見えますが、それは無意識が傷を治す細胞を増やすために細胞成長因子をたくさん出してくれているから。頭の中も同じで、ドロドロした記憶や感情は、無意識が傷を癒すためにしていること、というナラティブが絆創膏の役目になる。
人はケガをした時に、無意識が癒してくれる。
心の傷も、無意識という第3の選択肢に委ねることで後帯状皮質の興奮性シナプスと抑制性シナプスのバランスが取れ、炎症が治って、低下していた認知機能が元の状態に戻って「傷が癒えた」ということになる訳です(ナラティブで書いています)。
脳の部位のナラティブは絆創膏、というナラティブが炎症を鎮めて心の傷からの回復を助けてくれる。
(つづく)